2023年度税制大綱が2022年12月16日公表されました。
2023年度税制大綱では暮らしに様々な影響が及びます。証券投資の非課税枠が広がって資産形成がしやすくなり、相続税の節税につながる生前贈与のルールが見直されます。
2024年以降には、防衛費増税の財源となる所得税の上乗せとたばこ増税が控え、負担増が待ち受けます。
『貯蓄から投資へ』の流れを後押しするため少額投資非課税制度(以下NISA)は恒久化し、非課税制度期間も無期限になります。エコカー減税は2024年1月より段階的に基準を厳しくし、2025年5月には優遇対象からがガソリン車は事実上外れます。
1 贈与税「暦年課税」見直し
贈与税では早期の生前贈与を促すため1年間の贈与額の合計に応じて課税する「暦年課税」を見直します。
生前贈与か死後の相続かという時期の違いで税負担に差が出る現状を是正するためです。
若年層が結婚資金や教育資金、住宅取得等の資金を必要としているタイミングで贈与が進む効果も期待されます。
生前贈与には毎年課税する「暦年課税」と相続時にまとめて税を支払う「相続時精算課税制度」の2つがありどちらも見直しとなります。
2 暦年課税
暦年課税は年110万円までの贈与が非課税となっており、110万円を超える分が課税されます。
現行制度では死亡前3年間に贈与した分は相続財産として扱いますが、見直し後は遡る期間を3年から7年に延長し、延長した4年間に受けた贈与は総額100万円まで相続財産に加算されません。
贈与税の年110万円の非課税枠を使いう人にとっては死亡前の税負担が重くなる期間が長くなる可能性があります。
生前贈与を前倒しする動きにつながり、結婚や育児などにお金がかかる若い世代への贈与を促します。
3 相続時精算課税
相続時精算課税は、現行制度では父母・祖父母から合計2500万円以内なら何回贈与しても贈与税はかかりません。
2500万円を超える部分に一律20%課税され、死亡時に合計贈与額を相続財産に加算して課税されます。
制度を使い始めると少額の贈与でも税務署への申告が必要でしたが、改正後は年110万円まで申告不要になり、非課税枠の設定で利用を強く促します。
専用口座を開設すれば子や孫への相続のうち教育資金を1500万円、結婚・子育て資金を1000万円まで非課税にする特別措置が延長されます。
2023年3月の教育資金を3年、結婚・子育て資金は2年延長となります。
4 まとめ
政府は相続時税精算課税に軸足を移したい考えですが、2020年の課税件数は暦年課税36万4000件に対して相続時精算課税は4万件と少ない状況です。
今回は暦年課税と相続時精算課税の選択制を維持しつつ、相続時精算課税に110万円の非課税枠を新設。
受け取った土地や建物が被災した場合は特別扱いを受けられる措置も取り入れ強力に利用を促すことにしました。
暦年課税の加算期間延長は増税方向に働く一方、相続時精算課税を選ぶ人は税負担を軽減される方向になります。
今後も高齢化が進む中で次世代への資産移転をどう円滑に進めるかが課題となります。
今回の改正点を資産形成や資産運用に活かしましょう!
2023年度税制改正大綱より今回の主な改正点をお伝えしました資産形成や資産運用はこれまで以上にチャンスが広がります。
すでに投資を始められている方、これから投資を始めようと思われている方、皆様の周りにいらっしゃる投資に関心がある方、そんな方々はこの機会を有効にご活用ください。
ご連絡をお待ちしております。(岸田 陽一)