2025年には認知症患者は約700万人を超えるといわれています。(厚生労働省 『認知症施策の総合的な指針について』 2019年より)
「両親が認知症になってしまったら、両親の財産管理はどうすればいのだろう・・」
最近、メディアでも「親の認知症対策に使える」と話題になっている「家族信託」とはどの様なものか確認しましょう。
家族信託とは、自分の老後や介護等に備え、保有する不動産や預貯金を家族に予め託し、管理・処分を任せる財産管理の事です。
利用するにあたり、メリット・デメリットがあります。
〇メリット
・認知症による資産凍結対策
本人の判断能力が低下・喪失した場合、資産を動かす事が出来ない為、大きな不都合が生じます。あらかじめ家族信託をしておく事により、資産凍結される事なく、財産管理者の担い手たる家族(以下、受託者)主導で、財産の管理や処分を行う事が可能になります。
・財産を託す本人が、資産管理の状態を見届けられる
認知症対策として、任意後見制度がありますが、実際に機能するのは自己の判断能力を失った時(低下した時)機能してからになります。家族信託を利用した場合、資産の管理や運用状況を本人が元気な内に見届けられます。
・成年後見制度の代用になる
成年後見制度は、家庭裁判所への定期的な報告や、後見監督人への報酬の負担が発生する事等、ある程度の負担があります。家族信託を使う事により、以上の様な負担が無く、本人の希望や・方針に反しない限り、柔軟かつ積極的な財産管理、資産運用(遊休不動産の開発、老朽化した賃貸物件の建替え等)が可能になります。
・遺言の代用になる
成遺言の機能として、本人死亡後の財産の承継者を家族信託の契約者の中で指定できます。
本人が亡くなった後も引き続き受託者の下で、財産の管理が可能になります。更に2次相続以降の承継先まで自分で指定が可能です。後々の遺産分割協議による争いの余地を回避できます。
・相続時の不動産の共有トラブルの回避
不動産を将来的に、親戚等で共有する場合、何らかの事情で共有者全員の同意が得られず、不動産が塩漬けされてしまうリスクがあります。良いタイミングを逃さない不動産の有効活用の為に生かせます。
〇デメリット
・受託者を誰にするかの判断
財産を管理する家族が、ずさんな管理をした場合、相続人のなかで不満が生まれ、トラブルに発展する可能性もあります。
・信託契約関連所得、損失の損益通算が出来ない
収益物件を信託財産に入れた場合、信託不動産に関する損失は、信託財産以外からの所得と損益通算して課税所得を減少させる事や、損失の翌年への繰越も出来ません。また信託契約が複数の場合、それぞれの信託契約の損益通算も出来ないので注意が必要です。
・税務申告の負担
成年後見制度は、家庭裁判所への定期的な報告や、後見監督人への報酬の負担が発生する事等、ある程度の負担があります。家族信託を使う事により、以上の様な負担が無く、本人の希望や・方針に反しない限り、柔軟かつ積極的な財産管理、資産運用(遊休不動産の開発、老朽化した賃貸物件の建替え等)が可能になります。
以上の様にデメリットもありますが、メリットも大きい「家族信託」
専門家の意見も聞きながら、活用できる場合は有効活用していきましょう。